4か月連続で倒産件数、負債総額減

2020年12月の帝国データバンクの発表では、コロナ影響の企業倒産が累計で800社となった。業種別では、「飲食店」が126社で最も多く、次いで「ホテル・旅館」が70社、「建設・工事業」が57社と続いている。

一方、11月の倒産件数は全業種で倒産件数が減少。11月としては2000年以降最少の563件となった。また負債総額は952億1200万円、4カ月連続の前年同月比減少となった。

https://www.tdb.co.jp/tosan/syukei/2011.html

ホテル・旅館など宿泊業は、11月は持ち直したものの、2020年1~11月の倒産件数が120件と、前年同期(68件)の約1.8倍となっている。「Go Toトラベル」が今月28日から全国一斉に停止されることで、年間倒産件数はリーマン・ショックが発生した2008年(130件)や震災があった2011年(131件)の件数を超え、過去最多となる可能性が高い。

なお、ホテル・旅館関連業界の旅行業の倒産は11月までに24件発生し、すでに2019年の年間件数(20件)を上回っている。

飲食業は、11月まで(2020年1~11月)に736件発生し、過去最多の2019年の年間件数(732件)をすでに更新している。さらに、「Go Toトラベル」の停止による宴会需要の消滅や行動自粛による年末年始需要の冷え込みにより、居酒屋業態を中心に倒産件数は過去最多を大きく上回る可能性がある。

政府主導での資金繰り面への支援により、コロナ対応融資が実行された結果、銀行と信用金庫をあわせた10月の総貸出平残は前年同月から33兆円以上増加(貸出・預金動向 速報、日本銀行)。また、信用保証協会の保証債務残高も10月時点で前年同月の約1.9倍を記録(全国信用保証協会連合会)。

各種融資や給付金など国をあげた応急の資金繰り支援策が奏功し、2020年の倒産件数は2年ぶりに減少し、過去最低水準の8000件程度となる見込みである。

今後、飲食、サービス、小売業を中心に、追加融資を受けられず資金繰りに行き詰まったり、収益性向上にむけたビジネスモデルの変革に耐えられない企業が増加することが予想される。

令和2年度第3次補正予算案は、資金面で企業経営を支えるという強い意志を感じる内容となっているが、新型コロナウイルス感染拡大は長期化する見込みである。

企業再編などを通じて収益力を高める取り組みが見え隠れしているが、再編を進めるにあたり、移動体通信会社への値下げ圧力のような拙速な再編圧力を取れば人災による倒産件数は増大するだろう。

ニューノーマル時代の経営大全編集部