新型コロナ感染はいつまで続くのか?

新型コロナ感染はいつまで続くのか?

米ノースウエスタン大学ケロッグスクール教授のフィリップ・コトラー氏は、22020年4月の日経ビジネスへの寄稿の中で、以下のように述べている。

「状況は厳しくとも、新型コロナウイルスの感染はいつか収束する。そのときに備えて「電源をすぐに再びオンにできる」ようにしておくのだ。」

そのために、「マーケティングのプログラム、商品の価格、販売チャネルを調整することによって、自社にとって最適な位置、状況、サイクルを維持できるように準備しておくべきだ。」

そして、「今置かれた状況をきちんと説明し、会社を守り、そして再び成長軌道に乗せるために現実的な計画を示すべきだ。」

経営計画には、QCD=Quality(何をどのレベルで),Cost(どこにどこまで),Deliver(いつまでに)の3要素が必要である。しかし、残念ながらコトラー氏は寄稿の中の時期について明言されていない。

そこで、新型コロナ感染はいつまで続くのかについて、検討しよう。

①歴史的視座

1918年に流行が始まり、1920年に収束したスペイン風邪は2009年の新型インフルエンザの世界的流行と比べて政治的・医学的対応が後手に回っており、新型コロナウイルスの感染拡大に最も近い。Wikiによれば、以下のとおり3波が確認されている。

第1波は1918年3月にアメリカのデトロイトサウスカロライナ州付近などで最初の流行があり[42]アメリカ軍のヨーロッパ進軍と共に大西洋を渡り、5月から6月にヨーロッパで流行した。

第2波は1918年秋にほぼ世界中で同時に起こり、病原性がさらに強まり重篤な合併症を起こし死者が急増した。

第3波は1919年春から秋にかけて、第2波と同じく世界で流行した。さらに、最初に医師看護師の感染者が多く医療体制が崩壊してしまったため、感染被害が拡大した。

この経緯を教訓とし、2009年新型インフルエンザの世界的流行の際にはインフルエンザワクチンを医療従事者に優先接種することとなった。

②医療従事者的視点

医療従事者の視点では、封じ込めができれば短期間で収束するが、収束する可能性は期待できない。少なくとも1年〜3年は何度もピークを迎えながら収束していく見込みがあるようだ。

「新型コロナウイルスとの闘いは短距離走ではありません。1年は続く可能性のある長いマラソンです」

京都大学iPS細胞研究所(CiRA)山中伸弥教授・所長

国民の6割から9割が感染して抗体を有する『社会的免疫』が成立するまで、あと2~3年は感染の完全収束はない

時事メディカルの取材の中で、昭和大学(東京都品川区)の二木芳人客員教授(感染症)

封じ込めができれば意外と4月、5月で収まることもあるかもしれないです。

封じ込めができないということであれば、何度かピークを迎えながら、最終的に風邪のような存在になっていくというパターンもあるかもしれないです。

日本テレビの取材の中で、国立国際医療研究センター国際感染症センター医師の忽那賢志氏

③経済学的視点

MIT Tech Reviewの米国版編集長ギデオン・リッチフィールド氏によれば、

感染率が低下し始めるには、ウイルスの感染力(1人の感染症患者が生み出す2次感染者数の平均値「R0」で表される)が強いほど、免疫を持たなくてはならない人数も増える。しかし、 R0 の推定値にはばらつきがある。推定では、集団免疫が形成されるには、 人口のおよそ2分の1から4分の3が新型コロナウイルスに感染する必要があることが示唆されている。

これを、いわゆる医療崩壊(ECMOの台数を前提)を引き起こさずに実施した場合、人工呼吸器6万台をベースにしたサトウヒロシ氏の計算によると

ピークカットの期間は36ヶ月にも及ぶ

https://medium.com/@bigstone/only-containment-is-the-option-e689ba0b22ef

余興として、新型コロナウイルスの治療に最も効果があるECMO1412台だけで計算すると、365日で1,193,185人が死亡または免疫を獲得する。これを50%の集団免疫獲得まで続けると、50年かかる。

1回の非常事態宣言だけで収束すると考える事は合理的ではない。何度もピークを迎えながら今後1~3年は影響があると構えるべきだろう。

新時代の経営者のための戦略大全編集部