転職先のマネジメントレベルが低いと、優秀な幹部ほどこれまでのように成果がだせなくなるから
マネジメントには以下の5段階のレベルがある。
レベル1:事後に行う成り行き管理
レベル2:基準がある標準化管理
レベル3:機能別部門別最適化管理
レベル4:バリューチェーン全体の最適化管理
レベル5:全社戦略の中枢機能としての管理
もちろん、レベルが高くなればなるほど成果が出しやすくなる。
レベル5にいた優秀な幹部人材がレベル1の企業に転職してこれまでどおり成果をだせることはあるだろうか?
優秀な管理職を活かすも殺すも環境しだい
実は、結果がだせるという管理職は、
①中期経営計画
②人材評価制度
③管理会計
の3つが揃っていなければ、活躍できない。
3つの環境を揃えれば、従業員を優秀な管理職に成長させることができる可能性が高まる
幹部は、幹部の管理対象のチームの成果、将来性、態度を評価し、達成度により幹部の昇進と利益分配を行う。
幹部育成に必要な仕組みは、幹部自身と管理対象のチームの行動に必然性を与える経営計画、管理会計、目標管理である。
リーダーシップを必要とする人材には、行動の必然性を与えろ
アメーバ経営で有名な稲盛和夫氏は、JALの再建の際、経営計画と管理会計の仕組みを整えるまでJAL幹部に行動を迫らなかったという。
理由は、必然性と評価の仕組みがそろってはじめて幹部の行動の善し悪しが判断できるという哲学を持っていたためである。
リーダーシップとはつまり、必然性に気づき、必然性を言葉にし、関係者を説得し、協同行動を引き出すことである。
経営者が幹部候補に対して脅迫的な目標設定と進捗確認を行っても、中長期的にパフォーマンスを成長させていくことはない。
行動の必然性とは何か?
あったらいいな、できたらいいな、という空想の目標は決して達成することができない。
達成しなければならない、達成することが当たり前の目標は達成することができる。
必然性のある目標であるから、達成するための行動を行うことができる。
繰り返しになるが、幹部育成とは、端的に必然性を引き出す環境づくりであるといっていい。
アメーバ経営における必然性
アメーバ経営においては、経営計画から逆算した目標設定を幹部自ら行い、幹部同士の目標を共有する。
その結果の一つが、社内取引制度である。
部門毎の採算性を明らかにするため、社内の部門同士で取引を行い、採算性を記録する。自部門の採算性だけを見れば、取引価格を引き上げればよいが、会社全体の経営計画を実現するために設定した目標であるため、幹部同士の折衝で合意することができる。
幹部育成は研修だけでは100%成功しない
幹部育成とは、端的に必然性を引き出す環境づくりである。
よって、目標の達成度と行動の有効性を測る制度、具体的には中期経営計画と管理会計、評価制度の3つがそろわなければ幹部は成長することはない。
高いリーダーシップ研修に通わせたところで、時間と費用のムダである。
中期経営計画の策定と管理会計は幹部育成の第一歩
中期経営計画がなければ、幹部候補に必然性のある目標設定と行動を働きかけることができない。
管理会計がなければ、目標の達成度と行動の有効性を測ることができない。
よって、中期経営計画と管理会計はどちらも同時に導入する必要がある。
今こそ、有効な中期経営計画策定と管理会計制度の導入をすべきである。
事業再構築研究所編集部