中核人材を取り巻く環境

中小企業庁が毎年作成している中小企業白書によれば、中核人材とは、高い専門性や技能等を有し、事業活動の中枢を担う人材をいいます。

この中核人材はどういった人物かというと、小規模事業者になればなるほど子供や配偶者の比率が高まり、中規模法人はほとんどが親族以外の役員・従業員となっています。

そして、中核人材の中でも右腕といわれる方はほとんどが後継者または後継者候補と見做されています。中小企業・小規模事業者においては、経験の豊富さや人柄もあるが、後継者・後継者候補を「右腕」として登用し、経営を補佐してもらいながら、経営の引継ぎに備えているようです。

2017年の中小企業における中核人材の過不足状況としては、48.2%が不足。50.3%が適正であると回答されています。ほぼ半数の企業で不足状況に陥っていることがわかります。

企業の事業展開の方針別の中核人材の過不足状況では、成長拡大展開を行う企業において59.7%が不足と安定維持展開を行う企業に比べてと比べて16ポイント不足感が強まっています。

業務別にみていくと、

  • 製造業では「営業・販売・サービス」、「生産・運搬」、「研究開発・設計」、「内部管理」の順で不足していることがわかります。
  • 非製造業では、「営業・販売・サービス」で不足しています。

一方、「経営企画」、「情報システム」、「財務・会計」においては製造業、非製造業ともに不足感が弱い傾向にあります。

「営業・販売・サービス」業務の人材不足感が強いのは、「仕事量の増加」や「多様化する顧客ニーズへの対応」、「新事業・新分野への展開」といった、景況回復や顧客のニーズの変化を受けて中核人材の確保が必要となっているためです。

また、事業展開の方針にかかわらず、「中核人材・労働人材共に確保の必要がある」、「労働人材の確保の必要がある」と回答した企業においては、「慢性的な人手不足」と回答した割合が顕著に高いことが分かります。

中核人材の不足は、中長期的に企業の業績にデメリットを与えています。

  • 成長・拡大志向企業においては、「新事業・新分野への展開が停滞」、「需要増加に対応できず機会損失が発生」
  • 安定・維持志向企業においては、「現在の事業規模の維持が困難」、「技術・ノウハウの承継が困難」

さらに、職場や現場においては、中核人材の不足により「時間外労働が増加・休暇取得数が減少」と回答した企業の割合が事業展開の方針にかかわらずそれぞれ6割近くとなっています。

中核人材の不足により、既存の人材へのしわ寄せが発生していること、管理的な人材が不足することで、マネジメントが停滞し結果的に長時間労働が常態化していることがわかります。

新型コロナ感染症拡大により、「新事業・新分野への展開が停滞」、「需要増加に対応できず機会損失が発生」、「現在の事業規模の維持が困難」、「技術・ノウハウの承継が困難」という状況は事業存続に致命的な影響を与えるため、時間のかかる中核人材の確保、育成は早めに着手しておく必要があります。

特に、新型コロナ感染症により、社内の業務処理体制は整備できたものの、営業受注体制、認知集客体制は整備できていない企業が多いことを考えると、緊急度は最高度まで高まっていると認識しておくべきです。

ニューノーマル時代の経営大全編集部