管理会計における原価管理

原価管理とは、顧客が満足する機能を発揮させるために使われた、材料費、加工費の総和を示します。

原価管理は、次の5段階を経て歴史的に発展してきました。

  1. 実際原価計算のレベル(事後に行う成り行きコスト管理)
  2. 標準原価計算のレベル(基準があるコスト管理)
  3. 物量管理のレベル(JIT生産、小集団活動、FA化などによるコスト低減)
  4. 原価企画のレベル(品質、信頼性、機能、コストの同時作り込み)
  5. 戦略的コスト・マネジメントのレベル(全社戦略の中枢機能としての戦略的原価企画)

もちろん、数字が大きくなるにつれてコストは最適化され、長期間利益を生み出し続けることができます。

事業の目的は、利益を生み出すことです。利益は、価格-原価で生み出されます。

価格が自由に決められるとしたら、単純に価格を上げれば利益を生み出すことができます。あるいは、価格が決まっていても、単純に仕入先への価格交渉で仕入れ価格を下げれば利益を生み出すことができます。

しかし、価格競争の激しい現実ではそう簡単にはいきません。そこで、

  1. まず、競争に勝てる価格を決める
  2. 次に、欲しい利益額を決める
  3. その上で次の等式を満たす原価(目標原価)を決め、それを達成する

という考えに行きつきます。この順番でなければ、企業が生き残ることはできないのです。そして、この考えのことを原価企画といいます。

原価企画を成功させるには、2つのコツがあります。

・源流管理:商品・サービスの設計の上流段階にまで遡ってコストの発生を管理する

商品には、その機能を大きく左右するキー・パーツと呼ばれる部品(デジカメの場合で言えば、レンズ、撮像素子など)が存在します。これらのパーツに何を使用するかは、商品機能を大きく左右するので、商品企画の段階でほぼ決まります。しかも、それらは使用するパーツの中で最も高価であることがほとんどです。

そのため、商品の企画や構想設計が終わった初期段階で、その商品コストの大部分が決定されているという事態が発生します。

このような状況ですから、原価企画は初期段階(源流)から行う必要があります。これが原価企画で源流管理が重要かつ効果的な理由です。

では、初期段階(源流)から原価を下げるには、どうすれば良いでしょうか?そのためには、設計のやり方を理解しておく必要があります。

・コスト生成要因の排除:

①生産者側から見た付加価値を生まないコストの排除、

 これは、主にトヨタ生産方式の7つの無駄の排除のことです。

つくりすぎのムダ

手待ちのムダ

運搬のムダ

加工そのもののムダ

在庫のムダ

動作のムダ

不良を作るムダ

②消費者側から見た付加価値を生まないコストの排除

 これは、提供する性能と顧客が望む機能との差をそろえることです。

たとえば、トースターなどの家電製品のケースで内側の利用者の手が入らないような部分を過度に磨き上げているなど、です。消費者側から見た付加価値を生まないコストの排除を行うために必要な考え方にVE(Value Engineering)があります。

VEは、最小限のコストで、顧客に必要な機能を確実に達成するという考え方で、各機能に重要度(全体で100%)を割り当てて、目標原価にその割合をかけていきます。

そのうえで、V=F/C(VE価値)を計算します。このVE価値は、F(機能)が重要なほど、C(コスト)が低いほど、高くなります。反対に、機能が低くてコストが高いものは、Vが低くなります。

コストダウンは、Vが低いものから着手し、Vの値を高めていきます。

機能に注目する意味は、Cを下げる方法を幅広く考えられることにあります。具体的な機能の実現方法(断熱材としてどのような材料を使用するか、など)は指定されていないので、F/Cが目標の範囲に入らなければ、コストの下げ方に思い切った方法を考えることができます。

その結果、

  • 商品の原価を大きく左右する重要部品のコスト削減にいち早く取り組める
  • 設計の初期段階で機能中心に考えるので、実現方法を縛らない幅広いコストダウン方法を追求できる

というメリットを享受することができます。

ニューノーマル時代の経営大全編集部