管理会計における生産原価の決め方

製造業が収益構造を適正化する原理は、「売れる製品を安く作る」こと。安く作るためには製品原価を管理していく必要があります。

標準原価法

標準原価法は、その時の自社の技術水準、材料などの仕入れ価格、機械設備の状態、工員の習熟度などを勘案して、「この工程では部品1個あたりの加工がこれくらいの費用でできるべきだ」という標準を定めた原価」です。各工程には、この標準価格を目標値として与え、それが実現できない場合には差異分析を行わせることによって、標準原価の達成を追求していきます。

標準原価の達成度は業績評価に使用されることがありますが、コスト削減だけが評価対象となり、部門内で作り出した付加価値は評価されず、担当者の意欲が湧かなくなる欠点があります。また、投下資本にかかる費用も意識さなくなり、トータルコスト意識が甘くなるという問題も存在します。

標準原価を基にした内部振替法

標準原価法の問題を克服するために導入されるのが各部門を、決められた内部振替価格で社内取引させ、すべての工程で利益を管理させる内部振替法です。

その際、問題となるのが振替価格の決定方法です。振替価格は、品目ごとの標準原価と標準利益を積み上げる方式が一般的です。ここで、標準利益は、通常その部門(工程)に投下されている使用資本に対して求める利益で設定されます。

原価積み上げ法

原価積み上げ方式は、上流工程から順次原価や価格を積み上げて行きます。価格競争が激しい市場では、この積み上げ結果が市場価格を上回ることもあり、その場合は原価や利益の積み上げを見直すことになります。

原価逆算法

一方、市場が求める価格から振替価格を逆算していく方法もあります。後工程が求める振替価格をもとに、自工程の経費や想定利益を差し引いて、前工程に振替価格を提示するというものです。ただし、すぐ考えてもわかるように、各工程が自分の利益の最大化を図ると、この方式は簡単に破綻します。京セラでは、全社員にフィロソフィー教育を施し常に全体最適で考える文化を養成することで、この問題に対処ていします。

市場からの逆算で振替価格を決める方式は、変化対応力に優れているという利点があります。市場価格が低下した場合などに、すぐに後工程が前工程に価格交渉を行い、それが順に上流工程に波及していくからです。

このように、製造部門の原価管理方式(実質、業績管理方法)にもいろいろあり、各企業がおかれている業界環境や従業員のモチベーションなどを考慮して、どの方式を選択するかを考慮する必要があります。

ニューノーマル時代の経営戦略大全編集部