人の悩みや営みに関係なく、日は昇り、今年も無事に秋が来た。
2020年は、経営史でも最大の変革の年であることは間違いない。
新型コロナウイルス感染拡大が事業基盤そのものを揺るがすことで、企業経営は大きく影響を受けた。
・JALは、2021年3月期での連結最終損益は2300億円前後の赤字(前期は534億円の黒字)予測
・ANAも、同様に過去最大の5100億円の赤字に陥る予測
2020年10月末の時点で、世界全体で新型コロナウイルス患者は拡大している。
日本だけが特別であるという楽観視を基に経営判断するほど我々の頭の中はお花畑ではない。
一つだけ外れない予言があるとすれば、「新型コロナウイルスの感染がひと段落した後も、全世界で感染対策を続けなればならない」こと。
よって、我々は、事業基盤に3つの密を存在させることはできない。
・密閉
・密集
・密接
戸を固く閉め切って閉じこもって新型コロナウイルスの感染拡大を乗り越えようとしても、二度と3つの密に頼ることはできない。
一方で、業態転換するなど事業基盤を変化させて環境に適応しようとしている企業は多い。事業基盤の変化によって、必要とされるスキルセットは大きく変化した。これまでのスキルに加え、短期間でオンラインで業務を遂行するスキルを習得したのだ。
・機材の使用
・システムの利用
・業務フローの変革
オンラインで業務を遂行すると、人事マネジメントも影響を受ける。
大手通信キャリアであるauでは、これまでの職能型を改め、職務領域を明確化した「ジョブ型」人財マネジメントを導入する。この人事マネジメント制度では、働いた時間ではなく成果や挑戦および能力を評価・称賛し、処遇へ反映することを目的にしている。
ジョブ型は、古くからある採用から継続して専門性を高めていくという考え方である。
市場競争の面で考えると、
・好景気には、専門性を高め、勝ちパターンの規模と回転率を高める
・不況期や変革期には、広く探索型の意思決定をとる
これが定石である。
通信キャリアにとって、新型コロナウイルス感染不況は好景気になっている可能性があるが、一般的には職能型をベースに探索型の評価を組み合わせるのが合理的判断であろう。
百歩譲っても、auに足らないのがプロデューサー人材であるなら、プロデューサー人材の育成に特化した人事評価制度を導入すべきだろう。ジョブ型マネジメント制度に隠れてプロデューサー人材の育成に特化した人事評価制度を導入しているならauは本物だろう。だが、その影はちらりとも見えない。
このまま不況期に専門性を高める人材マネジメントを導入する企業が現れないことを祈る。
短期間で新たなスキルを得た企業にとっては、2021年2月以降は、新型コロナ感染拡大後の新常態に向けて、さらに新たなスキルが必要になるだろう。
すでに、新たなスキルは明らかになっている。
・エンターテイメント!
・エンターテイメント!
・エンターテイメント!
業態転換と2段階のスキル獲得と市場に求められる視座に耐えられる企業は少ない。
いよいよ若手経営者の収穫の秋は近い。
ニューノーマル時代の経営大全編集部