菅首相が、中小企業政策の中核をなす中小企業基本法の見直しに言及した。
日本経済新聞が9月6日に報道した菅官房長官へのインタビュー記事でも、中小企業の生産性が諸外国に比較して低いことに懸念を示し、小規模の利点を生んでいる中小企業基本法の区分要件の改正と、合併などで中小企業を再編し規模を拡大することで経営の効率化や生産性の向上を図りたいという発言をしたという。
中小企業の労働生産性向上については、9月6日前から「ニューノーマル時代に突入した今こそ、事業計画を作ろう」に示したとおり、菅政権が立ち上がる前から中小企業向け経済政策目標を企業数の維持から生産性向上へ方針を切り替えることになっていた。今回の言及に関しては、中小企業の再編を拡大する方針を改めて示した形になる。
中小企業の再編による生産性向上の急先鋒は、デービッド・アトキンソン氏だ。
先進国の中で低いとされる最低賃金について菅首相は全国的な引き上げを唱えている。最低賃金の引き上げによる中小再編を主張する、小西美術工藝社(東京都港区)社長のデービッド・アトキンソン氏と菅首相は親交がある。「菅氏はアトキンソン信者」(経産省幹部)といい、こうした側面から再編を促す可能性もある。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d51454658e2edd1496072f236c45f839189e6686?fbclid=IwAR0nvRJZR0WXTUz0w7u30LQOgGw72MPti65JnGYECJZQ29LC5kNm36jGBKQ
アトキンソン氏の主張を要約すると、中小企業の低生産性や低収益性、さらにはIT未導入率の高さは、すべて規模の小ささが原因であり、小規模企業は中堅企業に吸収合併される形で淘汰すべきとしている。これまで産業の裾野を広げてきた中小企業政策を中堅企業育成中心に転換すべきとしている。
中小規模企業は、新型コロナウイルス感染拡大による不況の状況下で5年間で5%の付加価値率の向上が求められる。
今こそ事業計画を作り、ニューノーマルの時代に備える必要がある。それも今すぐに、だ。
ニューノーマル時代の経営戦略大全編集部