経営者保証ガイドライン解説

事業承継や民事再生の場合に、金融機関からの借入につけた経営者保証を外す判断基準を定めたガイドラインが平成26年の2月から運用されている「経営者保証に関するガイドライン」です。

ガイドラインでは、

①法人と個人が明確に分離されている場合などに、経営者の個人保証を求めないこと
②多額の個人保証を行っていても、早期に事業再生や廃業を決断した際に一定の生活費等(従来の自由財産99万円に加え、年齢等に応じて約100~360万円)を残すことや、「華美でない」自宅に住み続けられることなどを検討すること
③保証債務の履行時に返済しきれない債務残額は原則として免除すること、

これにより無保証融資など経営者保証に依存しない融資の促進、旧経営者の保証解除や後継者による個人保証の提供なしの承継など、既存の保証契約の適切な見直し、破産手続きによらない保証債務の整理などの実現が期待されています。

もちろん、経営者か一方的に経営者保証を外すことはできません。事業承継時の経営者保証の見直しに向けた準備として、ガイドラインは会社と経営者には以下の3つを求めています。

①業務、経理、資産所有、資金のやり取りなどを(社会通念上)適正にするための法人と経営者個人との明確な切り分け

法人と個人の関係の切り分けについては、会計士や税理士など国家資格を有する外部専門家の関与が有効とされており、外部専門家が経営状況をチェックし適切な情報開示でできているという評価が要因となり経営者保証が外れた事例があります。

②法人のみの資産・収益力で借入金の返済が可能と判断できる会社の財務基盤の強化

財務基盤の強化では、収益による返済能力(キャッシュフロー)が重視される傾向があります。中期経営計画により収益改善の取り組みが行なわれているという評価が要因となり経営者保証が外れた事例があります。

③財務状況を正確に把握し、決算書などで適切に情報開示できる経営の透明性の確保

金融機関に対して月次試算表を月々に開示し金融機関との関係が良好であることが要因となり経営者保証が外れた事例があります。

具体的に経営者保証を外すためにはまず税理士に相談するところからスタートすることになります。ただし、ガイドラインとガイドラインに沿った活動があるからといって100%経営者保証が外れるというわけではありません。実績と金融機関からの信頼があって初めて交渉のテーブルにのると捉えておきましょう。

新時代の経営者のための戦略大全編集部