2020年5月1日、政府の専門家会議が新型コロナウイルス対策について新たな提言を行った。
感染の状況が厳しい地域では、新たな感染者数が一定水準まで低くなるまでは、医療崩壊を防ぎ、市民の命を守るため、引き続き「徹底した行動の変化」がひつようになる。
新たな感染者が限定的になり、対策の強度を緩められるようになった地域でも、感染拡大を予防する「新しい生活様式」に移っていく必要がある。
新しい生活様式とは
政府の専門家会議が提案した新しい生活様式は以下の3つである。
▽「3つの密」を徹底的に避ける
▽手洗いや人と人との距離の確保など基本的な感染対策を続ける
▽テレワーク、時差出勤、テレビ会議などにより接触機会を削減する
新しい経営様式はどうなるか?
コロナウィルスの感染者が出ると風評被害だけでなく、3か月は業務活動に直接の影響が出るため3様式は、今後3年間は継続する必要がある。
①3つの密「密閉・密集・密接」をなくす
②人との距離を2m確保し、対面させない
③肌や粘膜の直接的な接触、直接物体の表面を介しての間接的な接触をなくす
これにより3様式は経営者に2つの条件を突きつける。
・「業務プロセス」を3様式に対応させること
・「コンテンツ」を業務プロセスに対応させること
非対面営業でクロージングできなくなった
これまで直接対面営業を行っていた営業担当者が、zoomなどをもちいた非対面営業に変化した結果、まったくクロージングできなくなったという話をよく耳にする。非対面営業のクロージング直前までは順調に商談を進められるが、クロージング工程になると途端に失注するのだ。
オンライン会議に生産性はないという現実
まず一つ、明らかにしておきたいのは、オンライン会議に生産性はない、ということだ。オンライン会議では、ほぼ変化のない参加者全員の顔と、相手に見える自分の顔をチェックし続けなければならない。人間の脳は、非常にゆっくり変化する動きをとらえることが苦手である。例えば、カラー写真を見ている間に写真の一部の色が変わったとしても、人間の脳はその変化に気づきにくい。
これまで顔色で相手の理解度やシミュレーションを確認してきた営業担当者はカメラ越しに変化のない顔を見ても何もつかみ取ることができない。相手も一緒で、相手の表情から何もつかみ取ることができない。そのため、お互いが視覚に注意を集中させてしまう。
結果として、会議参加者全員が脳のリソースを使い果たし、合意にたどり着くことができないのである。
業務プロセスの変化はコミニュケーションの変化をもたらす
対面会議という業務プロセスが、新しい経営様式によりオンライン会議に変化するのであれば、コミニュケーションの形式を業務プロセスに適合させる必要がある。
まずは会議や打合せの基本に、ただ忠実に会議や打合せを進行してみることだ。基本を忠実に守るところから始め、これまでの会議をオンライン会議に移管して不具合があればすぐに別の手段に切り替える。
・会議と打合せの必要性について十分に検討すること
情報共有や確認であれば、オンライン会議以外の手段を選択した方が生産性が高い。
・参加者を吟味すること
オンライン会議は、2名がもっとも生産性が高い。
・事前に議題と進め方、時間を設定し、会議に参加する全員が十分に準備してから参加するよう事前に段どっておくこと
会議で論点を明らかにするのではなく、事前に論点を明らかにしておくこと
・会議の目的と進め方、時間を、改めて冒頭で確認すること
40分を一回の会議の限度とすること
・議題は、5分で1つの区切りをつけ参加者の理解度を測ること
参加者の理解度が低い場合には、オンライン会議とは別の手段を検討すること
・議題は常にメイン画面でビジュアルとして見せること
議題は、YesまたはNo、前提について再検討というレベルまで洗練させておくこと
・結論もビジュアルとして見せること
・担当者に宿題を設定し、次回の会議を定めておくこと
非対面営業でも売上を落とさないメタ認知営業の極意
広告代理店業界で圧倒的営業成績をあげている営業担当者は全員、商談する窓口担当者向けにセールストークや資料を作成していない。商談する窓口担当者が担当者の上司を説得するためのセールストークと資料を作成している。
クロージングまでの工程を頭に描き、俯瞰してみながら商談に臨んでいるのである。彼らは非対面営業でも全く売上を落としていない。
非対面営業でも結果が出せるメタ認知営業については、また改めて語ることにする。
新しい経営様式の論点
新しい経営様式とは、業務プロセスの変化である。
業務プロセスの変化は、コミュニケーションの変化をもたらす。
変化するコミニュケーションに対応して、ルールとコンテンツを適合させる必要がある。
新時代の経営者のための戦略大全編集部